今日は、9月ならではの、快晴で暖かくて絶好の美術館日和! 予てからの目論見通りに西宮市大谷記念美術館に『イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』を観に行ってきました。
※アイナール・トゥルコウスキィの絵本『まっくら、奇妙にしずか』 色を使っているのは表紙カバーの線の部分の蛍光オレンジだけ。 あとは、全てモノクローム。
当然、去年も行きましたが、今年もこの時期がやってきました。 もう、数十年も、9月の声を聞くと、この展覧会に通っているので、この展覧会場の雰囲気は、独特の思い出として体の隅々まで染みこんでしまっています。
今年の目玉は、なんと言っても特別展示の『アイナール・トゥルコウスキィ』です。
まだデビューして間もないドイツの若いイラストレーターですが、彼の代表作の『まっくら、奇妙にしずか』は、独特のモノクロームの精緻な世界を展開しています。
シャープペンシルだけで描ききる究極の細密画のテクニックには舌を巻きます。 原画もサイズは小さくて、実際の本のサイズとほぼ同じですが、その細部にまで神経が行き渡った表現は圧倒的な迫力があります。 そして、その表情は、エッチングのように冷ややかなモノではなく、鉛筆独特の、色彩を感じる暖かいモノクロームの世界です。
そのイメージの世界は、不気味で不条理な光景を覗いてしまったという感覚を呼び覚まします。 例えて言うなら、あの中世の不安を描いた『ボッシュ』を連想させたりもします。 そこにあるメカニカルなこだわりは、彼が舞台美術を学んだ影響が色濃く出ています。
ストーリー性には乏しい感がありますが、彼独特の『不条理の装置幻想』のイメージは一度見たら忘れられないほどのインパクトがあると思います。
※行く途中の道で出会った、ユーモラスで愛嬌のあるお地蔵さんです。
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