磯江毅という洋画家の画集なんだが、表紙のイメージから、最初は3G CGのガイドブックだと思った。
実は去年に亡くなった彼の伝統的な技法による写実作品なのだ。
その卓越した精緻な写実の技術と、余白を最大限に生かした大胆な構図、そして画面から漂ってくる精神性の高さは特筆ものだ。
普通はテクニックは高くても精神性は感じられないスーパーリアリズム作品が多い中で、ヨハネス・フェルメールやアンドリュー・ワイエスに通じる精神性を感じ取ることができる。
モチーフは、朽ちかけた花や静物を中心に、人物、自画像、風景に至る幅広いテーマに挑んでいるのだが、そのどれもが見事に彼の個性となって凝縮されて、それぞれの味を醸し出しているのには驚いてしまう。
また、シンプルなモノクロの静物は、余白を活かした構図の中で、まるで生命力が宿った生き物のように再構築されている。
そこに、日本画や水墨画の境地に通じる象徴美も感じてしまう。
画集で見ても、この迫真力。 本当に原画が見たい!
磯江毅
http://homepage2.nifty.com/saihodo/artists_isoe_2.html
http://homepage2.nifty.com/saihodo/exhibition_g_isoe.html
磯江毅画集・写実考
http://book.bijutsu.co.jp/books/2009/03/gustavo_isoes_works_19742007.html
Thanks for writing this.
投稿情報: Liona | 2009年4 月25日 (土) 08:30
原画は神の領域です。
画集中にもある「アーリーレッド」は、特筆すべきものでした。
投稿情報: p | 2009年9 月23日 (水) 09:29
確かに原画が『神の領域』ってのもうなずけるような気がします。
画集で観ても「アーリーレッド」は、『崩壊する運命に抗う生命力』を強く感じます。
最近のNHK新日曜美術館で放送していた「犬塚勉」も同様ですね。
特に、作品『暗く深き渓谷の入口』は、まさに『神の領域』を感じずにはいられません。
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2009/0705/index.html
投稿情報: TACOリン | 2009年9 月23日 (水) 11:46