とってもユニークでワクワク感のあるハイキングコース=武庫川廃線跡を体験してきました。 JR福知山線の生瀬駅から武田尾駅までの間の武庫川渓流沿いの有名なハイキングコースですが、途中真っ暗なトンネルを幾つも抜けたり、古い鉄橋が残っていたりという、まるで秘境を歩いているようなスリリングなハイキングコースです。
・・・トンネルを抜けると、そこは緑豊かな美しい山と、ユニークな岩に恵まれた渓谷であった・・・
こんなセリフを吐きたくなるような、魅力的なハイキングコースが『武庫川廃線跡』なのです。
出発は、JR福知山線の生瀬駅。 (私たちは、家から自転車で阪急仁川駅まで行き、そこの駐輪場に自転車を預けて、阪急で宝塚まで移動し、さらにJPに乗り換えて生瀬駅まで行きました。)
駅を降りると、山に囲まれた、いかにもハイキングコースの入り口のようないい感じの雰囲気。 駅前のコンビニでお約束のおにぎりを買って、国道沿いの人一人がようやく歩けるような側道をしばらく歩きます。
そして、側道に抜けると、武庫川の渓谷が一望に見渡せる道に出て、そこからが、山沿いで渓谷沿いに廃線跡コースが一路続いているのです。
古くて朽ち果てたような枕木が地面から部分的に顔を出して、雑草に覆われた比較的平坦な道が、渓谷を右側に見下ろすような形でしばらく続きます。 駅から15分ほどなのに、もういきなり山奥の光景。 渓谷には大きな岩がそそり立って、まるで中国の水墨画の幽玄の世界を彷彿とさせます。
途中には眺めの良さそうな、休憩の岩があるのですが、ハイキングコースからは降りていけそうもないので、なかなかおにぎりを食べるポイントが見つかりません。 けれど、小さな花が顔を出した、大きな岩の上でのんびり釣りでもしたらさぞかし気持ちよいだろうと思える景色が目を奪います。
そして、しばらくすると、このコースの目玉である、トンネルが見えてきます。 紹介された人から、「真っ暗だから懐中電灯が必要ですよ」って言われていたので、にわかに信じられなかったけど、小さな軽いLEDライトを用意していましたが、これが本当に真っ暗な中を数百メートルを歩くという珍しい体験。 真っ暗なだけでなく、中はひんやりしていて、下は所々水たまりで、トンネルの天井からも水がしたたり落ちている所があるという、なかなかのエキサイティングなコースなんです。 小さな1灯のLEDライトでは足元をようやく照らす光量しかないので、ずいぶん心細い思いをしました。
いくつかのトンネルを抜け、蛇行をしている渓谷沿いの線路道を歩いたりを繰り返して、どんどん上流に向かって行きます。 最初は、少なかったハイカーも、なぜか途中からよく巡り会うようになります。
ここは、このコースは道が平坦だからマウンテンバイクには持ってこいだなと話していると、向こうからちょうどマウンテンバイクの人が自転車を押してくるのが見えました。 道幅が狭いところは枕木だけなので乗って走ることができないんです。
まるで、古代の遺跡のようなトンネルの跡も、緑の自然の中に埋もれるように同化しています。
そして、幾つ目かのトンネルを越えると目の前に、大きな鉄橋が迫ってきます。 ここは側道を歩くのですが、思わず映画の『Stand by Me』を思い出しました。
もうゴールにほど近いところでようやく道に腰をかける休憩用の岩が置いてある所に到達して、渓谷を眺めながら、やっとおにぎりを食べることができました。
今まで枕木ばかりが残る道でしたが、最後に一個だけ線路のかけらが埋まっているのがありました。 何の変哲もない鉄の破片なんですが、今まで一つも見られなかっただけに、まるで宝を探し当てたような気分になりました。
ゴール近くは武田尾のひなびた温泉街で、一般道を少し歩くと終点のJR武田尾駅のトンネルと鉄橋が見えてきます
片道2時間ほどの比較的短いコースですが、なんと言っても真っ暗なトンネルの存在と渓谷のダイナミックな美しさ、枕木の残る道を歩く不思議な気分と盛りだくさんの魅力が満載のお勧めのコースです。 鉄道の設備の跡をそのまま放っておいても、自然と同化し、こんなに魅力があるハイキングコースに生まれ変わるんですね。 少し大げさかもしれませんが、意図しないテーマパークのように。 ここは自然と人工がほどよくバランスを保ち、心地よい環境を形作っているような気がします。
この貴重なコース、なかなか気に入りましたので、この夏か、秋の紅葉シーズンにまた別の魅力を探しに行こうと思っています。
投稿情報: |