カメラといえば、性能もさることながら、コレクションの対象になるぐらいにそのデザインと加工精度と仕上がりの良さは重要な要素です。
私が今、愛用しているIXY DIGITAL 70。 金属の美しさを生かした、シンプルで品があるデザインなのでとても気に入っています。
初代IXYが登場したとき、そのコンパクトで上質感漂うデザインに魅了されて、何度もお店で食い入るように眺めていました。 でも、あの時代の35ミリサイズのフィルムではなくAPSカメラシステムという、すぐ消えていくことが明らかに予測される仕様だったので買うのは止めました。 でも、新しいコンパクトカメラの幕開けを予感させるに十分な魅力のあるデザインでした。
それから、間もなくDIGITALになり、IXY DIGITALはデザインの基本コンセプトはそのままに、時代とともにどんどん変化していきます。
一時期、曲面の未来的なデザインに傾いていったIXY DIGITALですが、あまり好きになれず、初代IXYの面影を色濃く残した清楚な、2006年発売のIXY DIGITAL70が気に入って去年に手に入れました。 他のラインナップと何度も比較して検討しましたが、操作感も良い好感の持てるモデルです。
そう言えば、その昔にOLYMPUS XAという、なかなかユニークなコンパクトカメラを使っていたことがあります。
レンズのキャップが本体と一体型のカプセル状になっていて、手でスライドして開閉するという新発想のカメラです。 これは、実際使ってみると、すごく便利で実用性を満たしながら、同時にデザインの大きなアクセントになっているという優れたデザインです。 プラスチックの質感も、高級感こそはありませんでしたが、上質な作りでした。 何となく愛嬌のあるペットのような印象です。
その後、COTAX G1というチタニウムの暖かみのある色味と質感が美しいボディの小型のデジタル一眼レフカメラが発売され、その高級感に魅了されて、また何度もお店で食い入るように眺めていました。
モノとしての存在感は抜群でしたが、その性能に何となく疑問を感じたので、買うには至りませんでした。 でも、その高級感溢れるデザインは、今でも色あせません。
今は、結構、デジタル一眼レフカメラが売れているらしいです。
確かに、その描写力や作画性能を考えれば、スペック的にはいいのですが、あの重さと大きさなどを考えると日常ユースでは荷が重すぎます。 そして何より、そのデザインが、以前から変わらない横並びの個性のないデザインといかにもプラスチックのチープな質感ばかりなので触手が動かないのです。 目隠しテストをすれば、どのメーカーかもわからない状況。
でも、そのカメラの象徴のような一眼レフカメラは、その昔はもの凄い存在感の、美しいデザインと精巧な作りのモノが多かったようです。 その中でも圧巻だなと感じるのはCONTAREX BULLSEYE。
1958年に発表されたモデルですが、このドイツの金属の精密加工のデザインや質感は、製品というより工芸品のような美しさなのです。 まるで『金属の色気』のようなオーラを放っています。 その時代に巡り会っていれば一目惚れしていたに違いないと思われ、その隅々まで行き届いた精緻な加工は『貴族のような気品』で、気高い人格までをも彷彿とさせるような逸品です。
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